
HYPER5のリムは、東レT700カーボンに高弾性のM40カーボンを戦略的に積層することで、軽量性と剛性のバランスを高次元で実現している。 弾性率(ヤング率)はHYPER3の230GPaに対して約1.5倍となる377GPaに達し、数値上でも剛性の進化が明確だ。 ヤング率とは、材料の変形しにくさを示す指標であり、値が高いほどたわみにくくなる。 この高弾性によりHYPER5のリムは、加速時や高荷重時でも形状変化が極めて少なく、常に理想的な円形プロファイルを維持。 ペダルからの入力を無駄なく推進力へと変換し、加速のキレやスプリント時の瞬発力に直結する仕上がりとなっている。

ニップルはリム内部に埋め込まれており、1ワットたりとも無駄にしない設計となっている。ニップルが表面に出ていないクリーンなリムプロファイルは、高速走行時の乱流を最小限に抑え、全体的なエアフローを最適化。これにより空気抵抗を効果的に削減している。 実際の風洞試験では、HYPER3と比較して、48km/hで巡航する際に2Wの削減を記録。 さらにスプリントの速度域である65km/hでは、空力差は約5Wに達し、限界まで出力を絞り出すスプリンターにとって明確なアドバンテージとなる。

HYPER5のハブは、前作HYPER3と同等の剛性を確保しながら、セットで59gの軽量化を実現している。数値にして、HYPER3の357gに対し、HYPER5は298g。無駄を削ぎ落とした研ぎ澄まされた設計だ。 この軽量化の恩恵は、ホイール全体の性能にも表れている。 たとえば40mmハイトの「D40」モデルでは、完成重量が1,195gと1,200gを切る軽さをマークしている。剛性はそのままに、加速や登坂でより鋭く反応するホイールに仕上がっている。